リウマチとは
特徴
多発性の関節の炎症を生じる病気がリウマチです。
関節が痛んだり変形するほか、貧血や骨粗鬆症、肺病変をともない日常の動作にも障害を生じてきます。
患者数は日本で約100万人、好発年齢は30~40歳、女性に多く男性の5~6倍の発症です。
また、60歳からの発症も多く、この場合を「高齢発症関節リウマチ」と呼んでいます。
部位は手首、膝に多く、左右対称性に発症するのが特徴です。
経過
症状の進行の程度によって、3つのタイプに分けられます。
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あまり進行しないタイプ
一度リウマチ性の関節炎が出現しますが、治療によって改善し、その後は再発しないタイプ
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徐々に進行するタイプ
リウマチ性の関節炎が発症してから治療によって改善しますが、完全には治らずまた関節炎が悪化するのをくりかえして徐々に進行するタイプ
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急速に進行するタイプ
リウマチ症状が発症してから治療をおこなっても改善せず、どんどん症状が悪化するタイプ
リウマチの治療
くすりによる治療
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消炎鎮痛剤(NSAID)
リウマチの関節炎による腫脹・疼痛に対して使用します。
リウマチの原因の治療薬ではありませんが、症状軽減のためには必要な薬です。
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副腎皮質ホルモン(ステロイド)
リウマチの関節炎、腫脹、疼痛が激しい場合、NSAIDより効果が強く、症状軽減のため使用されます。
長期の使用で副作用が出現するため少量の使用が勧められています。
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抗リウマチ剤(DMARD)
リウマチそのものを治療する薬を言います。
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リウマトレックス(MTX・メソトレキセート)
もともとは抗癌剤として使用されている免疫抑制剤で、少量使用によりリウマチに効果があるため最近はよく使われています。
効果も良いため最近では第一選択薬とも言われていますが、肺線維症、肝機能障害など副作用に十分注意が必要です。
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リマチル(ブシラミン)
以前から使われている抗リウマチ剤で、現在もよく使われています。
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シオゾール(金注射)
最も古い抗リウマチ剤で、週1回から2週に1回の筋肉注射で継続することで効果が現れてきます。
注射による治療
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ステロイドホルモンの関節内注射
関節炎が強く、腫脹・疼痛が激しい場合、その関節に直接ステロイドホルモンを注入する方法です。
関節内注射により症状はよく改善します。過度の使用は骨・軟骨を弱くして関節破壊が進行しますので、専門医に相談して注射を受けて下さい。
その他の治療
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関節の可動域訓練
痛みのため関節を動かしていないと、関節が硬くなって動きが悪くなります。
動きが悪くなった関節を無理に動かそうとすると痛みがきつくなります。
そうならないように1日1回は関節全体をよく動かすようにしましょう。
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温熱療法
慢性の痛みに対しては、暖めることが症状の改善によい方法です。
お風呂でゆっくり温まりましょう。
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装具療法
リウマチによる関節の変形のため関節が不安定になり、日常生活に不自由が生じ痛みも増します。
痛みの軽減、変形の進行の予防のため、装具による固定、矯正は効果があります。
よい装具ができないか、主治医の先生に相談しましょう。
手術による治療
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滑膜切除術
リウマチの関節炎が長引くと関節の膜が腫れて、ぶあつくなってしまいます。
このぶあつくなった膜はそのまま残って関節炎が改善しませんので、手術によってその膜をとるのが、滑膜切除術の手術です。
手関節・膝がよく行われています。
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人工関節置換術
リウマチが長期になると関節の破壊が進み、骨もくずれてきます。
この痛みはくすりでは効果がありませんので、手術が必要になります。
人工の骨に置き換える手術が人工関節置換術です。
肩・肘・股関節・膝・足関節に行われています。
特に股関節・膝関節の人工関節はリウマチだけでなく一般の変形性関節症に対してもよく行われています。